2017年度セミナー

今年度前期は金曜日午後2時からセミナーを行います。 このセミナーの他にも、毎週火曜日 15時から本郷理学部1号館447号室にて行われる統計力学セミナーにも参加しています。

日程 時間 講演者 タイトル・アブストラクト
4月14日(金) 14:00 蘆田祐人さん
(東大・物理・上田研)
Quantum critical phenomena under measurement backaction アブストラクト
4月28日(金) 14:00 小渕 智之さん
(東工大・樺島研究室)
複素半古典計算によるロシュミットエコーの解析と動的量子相転移 アブストラクト
6月2日(金) 14:00 荒畑 恵美子さん
(首都大)
有限温度における超流動Bose原子気体の量子渦格子形成シミュレーション アブストラクト
6月9日(金) 14:00 饗場 行洋さん
(野村證券)
金融工学研究センターでの研究紹介 アブストラクト
6月16日(金) 14:00 長谷川 靖洋さん
(埼玉大)
ナノワイヤー材料の熱伝導率減少について アブストラクト
6月23日(金) 10:20~17:25 研究実験棟T
3階大会議室
ワークショップ「物質科学におけるデータ科学の視点」
6月30日(金) セミナーなし
7月7日(金) 13:00
いつもと時間が違います
田畑 幸平さん
(東大・上田研)
パリティ・時間対称な量子開放系における情報の回復と臨界性 アブストラクト
7月14日(金) 14:00 設楽 智洋さん
(東大・上田研)
T.B.A.

第1回

講師:蘆田祐人さん(東大・物理・上田研)
日時:4月14日(金)午後2時〜
題目:Quantum critical phenomena under measurement backaction
アブストラクト:
Recent realization of quantum gas microscopy has offered the possibility of continuous monitoring of quantum many-body systems at the single-particle level [1,2]. In this talk, we ask how the measurement backaction influences on quantum critical phenomena in such a situation. By analyzing effective non-Hermitian Hamiltonians for interacting bosons in an optical lattice and continuum, we demonstrate that the backaction of quantum measurement shifts the quantum critical point and gives rise to a unique 1D critical phase [3]. We will also discuss exotic quantum critical phenomena in parity-time symmetric many-body systems [4], where we find the emergence of a new universality class and unconventional renormalization group flows beyond the Hermitian paradigm.

References:
[1] W. Bakr et al., Nature 462, 74 (2009).
[2] YA and M. Ueda, PRL 115, 095301 (2015).
[3] YA, S. Furukawa, and M. Ueda, PRA 94, 053615 (2016).
[4] YA, S. Furukawa, and M. Ueda, to appear in Nat. Commun. (arXiv:1611.00396).

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第2回

講師:小渕 智之さん(東工大・樺島研究室)
日時:4月28日(金)午後2時〜
題目:複素半古典計算によるロシュミットエコーの解析と動的量子相転移
アブストラクト:
近年の実験技術の上昇に伴い、孤立量子系のダイナミクスに対する関心が高まっている。 関連する話題の内、本講演では、動的量子相転移と呼ばれる、波動関数の初期状態との オーバーラップ(ロシュミットエコー)に現れる特異性に関する話をする。

ロシュミットエコーは、分配関数と形式的類似があるが、実はそれよりも計算しづらい上に 物理的意義が不明確な量である。そのため過去の研究の多くは、可解模型の解析もしくは 対称性が良い領域からのスケーリング的議論に基づいて、一般的性質を類推する、という ものにとどまっていた。この技術的問題を解決すべく、最近我々は、ロシュミットエコーを 一般的状況で近似的に計算する手法を経路積分を通じた半古典計算に基づいて開発した[1]。 スピン系の経路積分がill definedなことと関連して、通常の半古典計算ではうまくいかないのだが、 力学変数を複素数に拡張し、更に境界条件への特殊な接続条件を導入することでこれらは解決された。

講演では、この手法の解説とそれを全結合強磁性イジングモデルに適用した結果を解説する。 近年、動的量子相転移を実験的に観測する試みが始まっているが[2]、可能であれば、実験や 量子エンジニアリングにおける応用についても議論したい。

[1] T. Obuchi, S. Suzuki, K. Takahashi, arXiv:1702.05396
[2] P. Jurcevic, H. Shen, P. Hauke, C.Maier, T. Brydges, C. Hempel, B. P. Lanyon, M. Heyl, R. Blatt, C. F. Roos, arXiv:1612.06902

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第3回

講師:荒畑 恵美子さん(首都大)
日時:6月2日(金)午後2時〜
題目:有限温度における超流動Bose原子気体の量子渦格子形成シミュレーション
アブストラクト:
量子渦は超流動特有の位相欠陥であり、超流動の性質をよく反映することから、理論、実験の両面から盛んに研究されている。冷却原子気体の凝縮体の運動はGross-Pitaevskii(GP)方程式でよく記述され、量子渦形成の理論研究の多くも絶対零度のGP方程式を用いて行われている[1]。渦形成には散逸の効果が必要であるが、多くの理論的研究ではGP方程式に散逸を現象論的に導入することでその効果を記述している。しかし、量子渦形成のダイナミクスの包括的理解のためには凝縮体から散逸した非凝縮体の影響を微視的に明らかにする必要がある。非常縮体の重要性について、2001年JILAグループより非凝縮体を回転させてから凝縮する温度まで冷却することにより、効率的に量子渦を生成することができると実験的に報告されている[2]が、理論的解析は行われていない。

Bose原子気体における量子渦形成について凝縮体と非常縮体を同時に扱うことの出来る理論の一つに、Zaremba-Nikuni-GriffinI (ZNG) 理論[3]がある。ZNG理論ではGP方程式を用いて凝縮体の運動を、Boltzmann 方程式を用いて非凝縮体の運動を記述するため、微視的機構に基づいた散逸項の計算が可能になり、非凝縮体の効果が詳しく議論できる。

本講演では、ZNG理論を用いた数値シミュレーションの結果について紹介する。特に、非凝縮体が渦形成に与える影響について詳しく議論する。

[1] M.Tsubota, K. Kasamatsu and M.Ueda, Phys Rev A 65 023603(2002)
[2] P. C. Haljan, I. Coddington, P. Engels, and E. A. Cornell, Phys. Rev. Lett 87 210403 (2001)
[3] A. Griffin, T. Nikuni, and E. Zaremba, J. Low. Temp. Phys. 116 277 (2009)

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第4回

講師:饗場 行洋さん(野村證券)
日時:6月9日(金)午後2時〜
題目:金融工学研究センターでの研究紹介
アブストラクト:
筆者が兼務している野村證券金融工学研究センターのインデックス業務室とクオンツ・ソリューション・リサーチ部、それぞれについての話題を提供したい。 前半では、日経平均やTOPIXに代表される株価インデックスの役割について説明し、その上でインデックスを用いた資産運用にまつわる困難と、それを解決するための取り組みについて紹介する。後半では、近年話題の深層学習を、経済・金融テキストに応用した事例について紹介したい。

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第5回

講師:長谷川 靖洋さん(埼玉大)
日時:6月16日(金)午後2時〜
題目:ナノワイヤー材料の熱伝導率減少について
アブストラクト:
熱電変換素子のエネルギー変換効率は、熱伝導率の大きさに逆比例することもあり、如何に既存材料の熱伝導率を減少させるか大きな鍵となる。発表者は、熱電変換応用を想定したBiナノワイヤー熱電変換素子の開発を進めており、Biはフォノンの平均自由行程が液体ヘリウム温度で数mmあることが知られており、熱伝導率のサイズ効果も報告さている。つまり、Biをナノワイヤー化すると、ワイヤー表面でのフォノン散乱が促進され、フォノン熱伝導率が大きく変化することが予想されている。

本発表では、実験から評価されたキャリア移動とキャリア密度を利用し、2キャリアのボルツマン方程式を基にしたキャリア熱伝導率とデバイモデルによるフォノン熱伝導率を評価することで、Biナノワイヤー熱電変換素子における熱伝導率のワイヤー直径・温度依存性を評価する。これを基に、キャリア熱伝導率がほぼ無視できる系となるSiなどを代表とする共有結合性結晶をナノワイヤー化した場合ので熱伝導率評価を行っていく。

Reference:
Yasuhiro Hasegawa, Masayuki Murata and Daiki Nakamura, Takashi Komine, “Reducing thermal conductivity of thermoelectric materials by using a narrow wire geometry”, Journal of Applied Physics, Vol. 106, pp.063703 1-7 (2009).

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第6回

講師:川畑 幸平さん(東大・上田研)
日時:7月7日(金)午後1時〜いつもと開始時間が異なります
題目:パリティ・時間対称な量子開放系における情報の回復と臨界性
アブストラクト:
非エルミートだがパリティ・時間(PT)対称な開放系 [1] は、非平衡開放系特有の豊かな現象が見られることから、光学や原子物理をはじめとして、物理の幅広い分野で近年注目を集めている。古典系での観測例は PT 対称な系に関する研究を大きく進展させ [2]、量子系においても冷却原子系で PT 対称性の破れが観測されている [3]。PT 対称な量子開放系への理解についても大きな関心が集められてきたが [4]、情報論的な研究はこれまでなされてこなかった。

本研究において [5]、われわれは PT 対称な量子開放系と環境のあいだに生じる情報の流れについて一般的な状況下で調べた。その結果、環境に流出した情報を系が完全に回復するという、非 Markov 効果が PT 対称な系では現れうることを明らかにした。また、PT 対称な量子開放系をより大きな閉鎖系のなかに埋め込むことで、情報の回復の物理的起源が、系とエンタングルした環境自由度の有限性にあることを見出した。さらに、実験で実現可能ないくつかの具体例についても議論する。

Reference:
[1] C. M. Bender and S. Boettcher, Phys. Rev. Lett 80, 5243 (1998).
[2] C. E. Rüter et al., Nat. Phys. 6, 192 (2010).
[3] J. Li et al., arXiv: 1608.05061.
[4] D. C. Brody and E.-M. Graefe, Phys. Rev. Lett. 109, 230405 (2012).
[5] K. Kawabata, Y. Ashida, and M. Ueda, arXiv: 1705.04628.

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