研究室HP:http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/kato-yusuke-lab/


教員紹介HP:http://www.dbs.c.u-tokyo.ac.jp/labo/c_yusuke_kato.html


研究テーマ:物性理論とくに量子物性(超伝導、超流動、低次元量子系)の理論的研究


研究内容:

[1]ボース系における超流動崩壊機構の理解と超流動の安定性に関する統一的判定法の構築. 超流動崩壊機構としては素励起の不安定化(ランダウ)と渦生成不安定性(ファインマン)の2種類が知られているが、両者を統一的に記述する枠組みを、動的密度ゆらぎに注目して研究を行っている。

[2]超伝導量子渦のダイナミックス。超伝導量子渦に束縛されたフェルミオン励起はCaroli-deGennes-Matricon 状態が、低エネルギー物理を支配する。特に代表的なトポロジカル超伝導体であるカイラルP波超伝導体では、励起エネルギーが厳密にゼロである状態(ゼロモード)が存在し、量子渦の統計性を非自明にすることが知られている。我々はカイラルP波超伝導のゼロモードが量子渦のマクロな非平衡現象に与える影響を調べるため、輸送係数の微視的計算やトポロジカル超伝導の量子渦に特有な巨視的応答の計算を行っている。

障害物ポテンシャルが存在するときの超流動体の密度ゆらぎスペクトル関数I(x,ω)[渡部昌平 博士論文2010]。障壁ポテンシャルはx=0にある。障壁から十分離れた場所での凝縮体の速度の大きさVは (a)(b)(c)の順に大きくなり、(d)で臨界速度に達する。ポテンシャル近傍x=0かつ低エネルギーω=0付近の密度ゆらぎは臨界速度に近づくに従って増大する。動的密度ゆらぎの増大現象はランダウ臨界速度付近でも見出される現象であり、さまざまな超流動不安定化機構を統一的に記述するための理論的手がかりになる。