タイトル: 光格子中のボース-アインシュタイン凝縮体に関する理論 概要: 1995年にアルカリ原子を用いたBose-Einstein凝縮が実現されて以来、極低温における中性原子系の研究は急速な発展を遂げ、 物理学の様々な分野が融合した新しい領域を形成しつつある。 近年、Bose凝縮体をレーザーの干渉を用いて作った光格子と呼ばれる周期ポテンシャル中に閉じ込めた系が注目を集めており、 凝縮体が光格子中で様々な興味深い振る舞いを見せることが理論、実験の両面から分かってきた。 本セミナーの前半では、光格子中のBose凝縮体の集団励起の減衰 [1] についてと、 スピン自由度を持つBose凝縮体の光格子中における超流動-絶縁体転移 [2,3] についてこれまで行ってきた研究の結果について紹介する。 セミナーの後半では羽田野研での今後の研究の展望として、現在興味を持っているこの系のトピックである、 Bose凝縮体の光格子中でのdynamical instability [4]と非線形Landau-Zener tunneling [5] について紹介する。 参考文献 [1] S. Tsuchiya and A. Griffin, Phys. Rev. A 70, 023661 (2004). [2] S. Tsuchiya, S. Kurihara, and T. Kimura, Phys. Rev. A 70, 043628 (2004). [3] T. Kimura, S. Tsuchiya, and S. Kurihara, cond-mat/0408014. [4] B. Wu and Q. Niu, Phys. Rev. A 64, 061603 (2001). [5] B. Wu and Q. Niu, Phys. Rev. A 61, 023402 (2000).