題目:スピングラス模型におけるGriffiths不等式 概要: 強磁性体Ising模型において証明されたGriffith不等式は, 相関関数が非負であり,相互作用に対し単調増加することを意味している. この不等式は熱力学的極限の存在を議論する際に強力な力を発揮するなど, 統計力学において基本的な不等式の一つである. しかしながら,証明には全ての相互作用が強磁性的であるという条件を用いているため, 反強磁性相互作用をランダムに含むスピングラス模型では,証明されていなかった. 本セミナーでは,スピングラス模型の対称性を上手く利用するゲージ理論と, 近年発見されたGauss分布の性質を用いた解析方法を組み合わせることで, 相図のある領域でGriffiths不等式が成立することを証明する. また,Griffiths不等式の応用として,熱力学的極限の存在等を議論する. 森田 悟史