枝川 圭一 先生(東大生研)
タイトル:フォトニック・アモルファス・ダイヤモンドにおける光禁制帯形成と光局在
概要:誘電体が光の波長程度の周期性をもって配列した人工的な構造体である「フォトニック結晶」では、結晶構造をうまく設計することにより、特定の周波数領域の光の伝播をあらゆる方向で禁止する光禁制帯(PBG)が実現する場合がある。そのようなPBGをもつフォトニック結晶中に微小な欠陥を導入することにより、その微小領域に光を閉じ込めることができる。このような微小領域への光の閉じ込め効果を利用して、種々の新奇な光制御素子が実現可能となり、さらにはそれらを高密度で集積した光集積回路の実現も視野に入れて研究が進められている。従来、フォトニック結晶によるPBG形成、またそれによる光閉じ込め効果はフォトニック結晶の周期構造に由来して実現するものと信じられており、周期構造は大前提で不可欠のものと思われていた。ところが最近我々は周期性を全くもたないアモルファス構造でも明確なPBGが形成することを発見し、その構造をフォトニック・アモルファス・ダイヤモンド(PAD)構造と名付けた。さらにPADにおいて、バンド端付近の周波数の光に、ランダム系特有の光局在現象(アンダーソン局在)が起こることを見出した。 本講演では、計算機シミュレーションおよび電磁波透過実験によってPAD構造がPBGを形成すること、また光局在現象が起こることを明らかにした我々の研究[1,2]について紹介する。