♪アブストラクト♪ ☆背景 ・非平衡系においては分子の個性のような系の詳細が、熱物性を通してより顕著に見える。 ・いくつかの理論、実験双方からの研究はされているがまだそんなによく分かっていない。 ☆モチベーション ・分子の運動が非平衡環境においてどのように変化するか? ・またどのような特徴をもつ分子が非平衡効果を感じやすいか?を解明して、非平衡環境で機能を発揮する分子デバイスを作りたい。 ☆熱伝導系のモデルの説明 ・LJ粒子系 ・Nose-Hoover熱浴 ☆モデルの妥当性 ・系に1サイクルの操作を加えたとき、  平衡系ならば第2法則より全操作でした仕事は必ず正になる(Jarzynski等式のNose-Hoover熱浴バージョンから分かる。) ・定常状態におけるエントロピー生成がみたすFluctuation Theoremから、エントロピー生成が負になる確率はとても小さいし、  定常状態における分布の平均をとれば必ず正になる。→第2法則との整合性はよさそう! ☆分子が感じる非平衡性 問い「個々の分子の運動は平衡系と非平衡系で質的に何が違うのか?」 →バルクの分子の自由度は、平衡系でも非平衡系でもNewtonの運動方程式にしたがって動いている。  よって両者の違いはそんなに明らかではない。  しかし、例えば運動量の4次のキュミュラントをみると平衡系ではゼロになるのに対して、  非平衡系においてはゼロとはならない。よって、確かに局所的にみても局所平衡分布の破れというものは見える。  しかし、これらの破れはとても小さいし、この破れが分子の運動にどのような影響を与えているのかよく分からない。 →分子の自由度のもつエネルギーに関するエネルギー論を構築したい。 ・エントロピー生成と相空間の圧縮率との関係を説明する。 ・部分系への拡張を議論する。 ・分子の運動の有効記述の抽出 →分子が感じる”非平衡性”(ゴール) 寺本 央(東京大学総合文化研究科広域化学専攻相関基礎科学系 高塚研究室D2)