Title:  Disorder-induced stabilization of the Rock-Scissors-Paper game on regular graphs Authors:  谷澤俊弘(東大院情報理工,高知高専)  増田直紀(東大院情報理工,JST PRESTO) Abstract:  ネットワーク上で競合するいくつかのノード種の共存ダイナミ クスは,自然界における競合種の共存状態のモデル,  細胞内の化 学反応の連鎖における反応生成物質の共存状態のモデルなど広い応用範囲を持っている。  現実のネットワークにおいては,ノード 間の結合の強さに不均一性があるのが普通であるが,  これまでの 研究では,結合の不均一性の共存ダイナミクスへの影響について はあまり考察されてこなかった。  本研究では,ノード間の結合の強さがexp(-ar)で表わされるような不均一性がある場合に,競合する三つのノード種の共存ダイナミクスを考察する。  ここで,rは[0,1)区間の一様乱数であり,aは不均一性の強さを表わす非負 の実数パラメータである。  この不均一性のみによる影響を考察するため,ネットワークは次数一定の正規ランダムグラフとする。  ノード数が有限の正規グラフにおいては,不均一性がない場合(a =0),三種のノード種の存在比率は平均場近似の中立安定解である1/3 のまわりに大きく揺らぎ,  ついには一つのノード種のみが生き残 ることが知られている。  我々はこの系について,ノード数と次数を変え,数値シミュ レーションを行った。  その結果,いずれのノード数・次数につい ても,パラメータaの値がある値よりも大きくなると,  ノード種存在比率の揺らぎが抑制され,三つのノード種が共存する状 態が安定となることがわかった。  本セミナーでは,この他,各ノード種存在比率の相関関数や, 正規グラフから弱い結合のリンクを取り除いた部分ネットワーク 上の計算結果も紹介し,安定化のメカニズムを解析する。