タイトル: 三角格子t-V模型に現れる電荷揺らぎを伴った金属基底状態の厳密対角化法による解析 アブスト: 電荷自由度のフラストレーションを持つ系が注目を集めている。 これを有するいくつかの系では新奇な輸送現象が報告されている。 今研究では電荷フラスト レーションを最も単純に記述する三角格子t-V模型の性質について調べた。 この模型の強結合領域では金属粒子と電荷秩序化した電子が空間的に棲み分けた描像 (pinball液体描像)が提案されている[1]。 この模型の基底状態を新しいを計算法である強結 合基底状態への射影演算子法を用いた厳密対角化法で調べた。 基底状態の準粒子状態は 2つの状態、電荷秩序を示す状態と金属的なmidgap状態、が実質的に分かれて存在する。 この結果はpinball液体描象における棲み分けを意味し、 スピンフラストレーションでは現れない電荷フラストレーションの特徴を示している。 また、pinball液体状態は 電子で記述される状態とホールでの状態の二状態をとることができ、 パラメタ空間内のその境 界では不安定になると予想される。 波動関数の観測より、この境界ではpinball 液体状態が相分離する性格がわかった。 この性格より三角格子t-V模型の相図を得た。 [1] C. Hotta and N. Furukawa: Phys. Rev. B, 74, (2006) 193107