近年行われている高速金原始同士の衝突実験(RHIC)によっ て、クォーク・ グルーオンプラズマの性質が明らかになりつつある。クォークは、常 温では 陽子などに閉じ込められているが、高温では自由に動き回ることが出 来る。この RHICの実験によって、クォーク・グルーオンプラズマが、非常に小さ い粘性を 持つ流体である可能性がでてきた。この粘性は、マルダセナによって 発見された AdS/CFT双対性によって計算することが出来、実験結果と非常に良く 一致する。 本講演では、導入としてブラックホールの性質やAdS/CFT双対 性について簡単に 紹介する。その後、化学ポテンシャルが入った場合のプラズマの粘性 を、AdS ブラックホールの摂動から数値的に計算する手法を紹介し、粘性率と エントロピー 密度の比が、モデルの詳細に寄らない、ユニバーサルな値を持つこと を示す。